40代後半以降の中高年でバレーボールの国際試合をよく見られていた方なら、中国女子代表の郎平(ロウヘイ)の名前は覚えているかと思います。日本女子バレーもこの郎平に苦杯をなめされられました。
この映画は前半で郎平の選手時代を、後半で監督時代を描いています。改めてその成績を見てみますと、実に輝かしいものがあります。選手として監督として優秀な方なののだと思います。日本人としては憎きロウヘイでしたが、本作は実に郎平がよく描かれていて面白かったです。
郎平の半生を香港の陳可辛監督によって映画化されました。郎平役は選手時代を白浪が、監督時代を巩俐が演じています。
本作の原名は『中国女排』、私としては珍しくbilibiliにて鑑賞しました。
オススメ度
基本情報
邦題:中国女子バレー(大阪アジアン映画祭2021)
英題:Leap
監督:陳可辛
主演:巩俐、黄渤、吴刚、白浪
予告編
簡単なあらすじ
中国女子バレーは袁伟民(吴刚)監督のもと1981年のW杯大阪大会に向けて練習していた。郎平(白浪)はなかなか皆と同じメニューでの練習をさせてもらえず、筋トレなどのメニューをさせられていた。これはイジメではなく、袁伟民監督は実は郎平のことを見込んでいて育てていたのだ。
W杯直前、女子バレー代表は地方の男子チームと壮行試合を行う。もちろん、男子相手に勝てるわけはないのだが、そこには袁伟民監督の思惑があった。男子選手は女子バレーの世界強豪各国の選手と同じ身長だったり、同じ最高到達点の者だったりした。この試合で郎平は主力選手として抜擢された。
W杯大阪大会、日本とフルセットの激闘の末に優勝、金メダルを獲得した。以降1980年代の世界大会で中国は勝ちまくる。
時は変わって2008年、この年は北京オリンピック。以前、袁伟民監督のもとでコーチをしていた陈忠和(黄渤)が中国女子バレーを監督として率いていた。郎平はアメリカ代表監督をしていた。結果、アメリカは中国に勝ち、結果銀メダルを獲った。この後、郎平はアメリカ代表監督を辞する。
中国バレーボール協会が次期監督候補として郎平を招いていた。会議の中で郎平は改革を提案した。会議の大半が老人に近いくらいのおじさんばかり、郎平の提案に理解を示さない。だが、ひとり郎平に賛成する者がいた、前監督の陈忠和だ。陈忠和が郎平監督を後押しした。
郎平監督は全国から候補選手を大勢呼んだ。選手らには趣味嗜好から信念からを宿題として書かせた。郎平監督に従えずにチームを去っていく者もいた。郎平は「将来、優秀なスポーツ選手になることより、優秀な人物になってほしい」そう考えていた。旧態然とした練習はしなかった。
そして、2016年リオオリンピック、開催国で強豪のブラジルとの接戦を制し、その後も試合も勝って復活の金メダルを獲得することができた。
感想など
試合の再現度が素晴らしい。対日本戦、対アメリカ戦、対ブラジル戦。映画のシーンがまるで当時の映像そのままなのではないかと錯覚させられる。スクリーン映えをする女優さんにバレーボールをさせるのではなく、実際のバレーボール選手に演技をさせている。それだけに本物感があるのでしょう。選手時代の郎平役を演じた白浪は郎平の実の娘さんだそうです。
主演の巩俐がコン・リーに見えず、ロウヘイに見えるのは私だけでしょうか?黄渤がまた人間味あふれていて好感が持てます。
大阪アジアン映画祭2021(本作のページはこちら)で日本語字幕付きで鑑賞できる方々が羨ましいです。