☆4.5 2021年 動作 奇幻 香港映画

香港映画『一秒拳王』One Second Champion ワンセカンドチャンピオン

香港映画祭にて上映されました。監督・脚本・出演の3役の趙善恆チウ・シンハンさんとマレーシアの歌手で女優の林明禎リン・ミンチェンさんがゲストとして登壇されました。
のむコレ2022としてシネマート新宿・シネマート心斎橋にても上映されます。

3か所ほど感動するシーンがありました。かなりオススメの映画です。

オススメ度

基本情報

邦題:ワンセカンドチャンピオン
英題:One Second Champion
監督:趙善恆チウ・シンハン
主演:周國賢アンディ・チョウ查朗桑提納托古チャーノン・サンティナトーンクン趙善恆チウ・シンハン

予告編

あらすじ

周天仁ヤン周國賢アンディ・チョウ)、産まれた時に1秒間死んだために1秒先が視える能力を持った。幼少期に六合彩マーク・シックス(ロトシックスのような宝くじ)の番号発表をTVで見ていて全ての数字を直前に言い当てた。父親は「これは使える!」と賭博場に連れて行っていろいろな賭博をさせたが、この能力を活かせるものはなかった。
TVに出演させた。この能力を試された結果「一秒神童」と名付けられ話題になった、この時は。

能力を全く活かせないまま大人になった。そして補聴器がないと会話が聞こえない耳の息子を持っている。
周天仁ヤンは父親のようにこの能力を賭博で使おうとして失敗、借金漬けになっていた。ある日職場であるバーに借金取りが押しかけてきて一触即発の状態になった。偶然にも野次馬としてボクシングジムの葉志信シュン趙善恆チウ・シンハン)が通りかかっていた。周天仁ヤンは喧嘩になると相手が1秒後にどのように襲ってくるかを視て即座に対応して撃退した。

葉志信シュン周天仁ヤンをボクシングジムに誘ったものの、断られた。だが息子のために一念発起し、ボクシングジムの門を叩いた。鈍り切った体ではきつかった。少しずつ葉志信シュンのスパーリング相手になれるようになっていった。葉志信シュンは試合があった。これに負けたらボクシングを辞めようと決心している大会だった。そして敗れたとき、相手に「英毅ジムにはまともなボクサーはいないのか?!」と挑発された。周天仁ヤンがリングに上がって相手をKOした。周天仁ヤンがボクサーとしての歩みを始めた。

さらに体を鍛え、葉志信シュンの指導で試合に臨むとKOに次ぐKO勝ちしていった。かつて「一秒神童」と呼ばれていたことに掛けて「一秒拳王」の異名がついた。

その頃、ボクシングの王者・鄭耀祖ジョー查朗桑提納托古チャーノン・サンティナトーンクン)が強い相手を求めて飢えていた。「エキシビションマッチじゃなくて、本気の試合がしたい」彼のジムの者が周天仁ヤンと接触してきた。「一秒神童」の能力を試して本物だと確信すると、試合を申し出てきた。これを断った。すると周天仁ヤンの脳波が一般人とは違うことを盾にとってきた。「脳波が正常ではない者の試合は認めない」これに他のボクサーも賛同して署名してきた。試合が認められない。唯一、鄭耀祖ジョーと試合を行うことだけが残された道だった。

試合をすることが決まったが、事件が起きる。周天仁ヤンに負けた男が街中で絡んできたのだ。この男の1秒先の行動を読んで突き飛ばしたが、反動で道路に転げ出た。運悪く車に撥ねられて病院に運ばれた。

幸い一命を取り留めたが、医者は残酷なことを言った「脳波は正常です」
周天仁ヤンは1秒先を視る能力を失ったのだ。

「能力に頼らずに本来のボクシングの力だけで勝つ!」とリングに上がった。

感想など

タイトルからも格闘ものとわかる本作です。格闘ものの香港映画ですと 張家輝ニック・チョン 主演の『激戰激戦・ハートオブファイト』を思い出しました。これは総合格闘技ですが、どちらも撮影のために鍛えぬいた体が見事です。本作、周國賢アンディ・チョウが鍛え始めるところからのトレーニングの様子がエンドロールにて見ることができます。本当にキツそうです。
ボクシングって1ラウンドに2回ダウンするとKO負けだと思っていましたが、違うのですか?
最後の30分ほどが周天仁ヤンvs鄭耀祖ジョーの試合に費やされています。撮影は徹夜で20時間かけて行われたそうです。周國賢アンディ・チョウさんが右目の横を切って流血しますが、これは撮影中のアクシデントによる本物の怪我とのことです。この試合は本当に見応えがありました。最終10ラウンドの最後はあれしてあれになってあれなんですね。

1秒先が視える。この1秒が絶妙なのです。ギャンブルに活かすには短すぎて、ボクシングが丁度いいのです。
ヨガ教室を開く小瑤ヨン林明禎リン・ミンチェン)が「並行世界パラレルワールドがあったら、そこでの自分は幸せな人生を歩んでいるかもしれない」そう嘆くシーンがあります。
周天仁ヤン周國賢アンディ・チョウ)が1秒先が視えることについて話すのを聞いて「そっか、1秒1秒の選択で未来が作られるのね」と未来に希望を抱くシーンがあります。
ここが脚本も書いた監督が最も観客に伝えたかったメッセージだと思います。
周國賢アンディ・チョウが歌う主題歌の歌詞も心に沁みます。

鄭耀祖ジョー役の查朗桑提納托古チャーノン・サンティナトーンクン、この役に合う俳優さんがなかなか見つからなかったところ、タイのこの俳優さんを紹介されて、すぐにタイに飛んでオファーしたとのこと。

ボクシングジムの片隅にて台湾からきた葉志信シュンのいとこがヨガ教室を開いています。”笑いヨガ”と言うのですか?本当にあるようです。ポーズをとりながら「ハーハッハッハッ」と笑顔を作るヨガです。

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