この監督・キャストで中台港日韓合作の大作とくれば日本未公開なのが不思議な気がしてました。(2016年時点での感想です)
本作は『上集』『下集』の二部作となっていて『上集』には映画のタイトルにもなっている豪華客船の太平轮(太平輪)は数秒程度しか映りません。中国版タイタニックと呼ばれる太平轮は『下集』で描かれます。
これでは日本で公開しても『上集』で観客は逃げていってしまうと思われます。私が映画配給会社の人間ならば買わないでしょう。
基本情報
邦題:The Crossing-ザ・クロッシング- Part Ⅰ
英題:The Crossing
監督:吳宇森
主演:黄晓明、章子怡、金城武、長澤まさみ、黒木瞳、ソン・ヘギョ
『上集』はまず第二次世界大戦の1945年から始まります。太平輪事件は1949年ですから、なぜそこまで遡らなければならないのか理解に苦しみます。
第二次大戦の英雄としての雷义方(黄晓明)を描きたかったのかもしれません。
金城武も台湾籍の日本軍医師・嚴澤坤として出演しています。
第二次世界大戦が終わり、束の間の休息。雷义方は周蕴芬(ソン・ヘギョ)に一目惚れ、二人は結婚します。出会いには吳宇森監督お得意のダンスシーンもあります。
また、台湾に戻り医師として暮らす嚴澤坤の思い出のシーンとして志村雅子(長澤まさみ)が登場、ロマンスがあります。雅子は嚴澤坤と同級生で恋人でしたが、終戦後日本に帰っています。黒木瞳は志村雅子の母としての出演。
長澤まさみは前年に台湾ドラマ『流氓蛋糕店』で中国語での役に挑戦した実績を受けての抜擢かと思いきや全部日本語でした。
束の間の休息が終わると第二次国共内戦へ突入。また戦闘シーンが増えてきます。
1949年になると共産党が国民党を駆逐します。『上集』のラストの戦闘シーンは火薬をふんだんに使います。この辺りは吳宇森監督作品『喋血街頭』を彷彿とさせます。
敗れた国民党員は台湾に逃げます。そう、やっと太平轮の登場です。ここで『上集』は『下集』の予告編を流して終わりになります。そうか、だから第二次国共内戦も描きたかったのか。でも話が長すぎないか?
オススメ度
予告編
『下集』に続くのですが、『下集』もすんなりと太平轮とはいかず…