香港旅行の3日目に旺角の朗豪坊にて58HKDで観ました。香港では2019年4月からの上映にもかかわらず6月まで上映されるというロングランぶりです。
香港独立支持派と言われている黃秋生の主演作は現在中国では上映されず、動画サイトにもUPされません(記事はこちら)。ですので、今回の香港旅行にて鑑賞できたことは幸いでした。
本作は香港電影金像獎にて最佳導演、最佳男主角、最佳新演員を受賞しています。
オススメ度
基本情報
邦題:みじめな人(第14回大阪アジアン映画祭にて上映)
邦題:淪落の人
英題:Still Human
監督:陳小娟
主演:黃秋生、Crisel Consunji
予告編
簡単なあらすじ
梁昌榮(黃秋生)は工事現場での事故によって半身不随の身である。車椅子が必要であり、介護が必要である。
新しい介護士としてエヴリン(クリセル・コンサンジ)がフィリピンからやってきた。梁昌榮が広東語で話しかけてもエヴリンはキョトンとしている。広東語がわからないのだ。エヴリンは英語を話す。逆に梁昌榮の英語は片言だ。梁昌榮はエヴリンが逃げないようにパスポートを預かる。
エヴリンは看護師の経験があり、介護の方は少しできる。ただ、梁昌榮とはコミュニケーションが取れない。そんなエヴリンは写真が趣味である。外出先では街中の人々の写真を撮る。
エヴリンは真面目に仕事に取り組み、ある日梁昌榮に対し「広東語を覚えたいから教えてほしい」と話す。季節は流れていき、エヴリンは少しずつ梁昌榮と広東語で会話できるようになっていく。そんなエヴリンに対して梁昌榮は一眼レフのカメラを誕生日プレゼントする。
エヴリンがコンクールに応募した写真が大賞を受賞する。それが功を奏してエヴリンに対してオファーが舞い込む。しかし、エヴリンは断りのメールを返信した。
ある日、梁昌榮がエヴリンに「急いでこれを持っていってくれ」と大きな封筒を渡す。それを指定の場所に持っていくと、思いがけないことがエヴリンに起こる・・・
感想ほか
物語の先が読めてしまう映画ですが、その通りに進んでも感動して鳥肌が立ちました。
最悪の出会いから仲良くなるというのは恋愛映画・ドラマの常套手段ですが、この映画もコミュニケーションがとれなくてイライラするところから、互いにかけがえのない存在へと変わっていきます。
梁昌榮はエヴリンに広東語のスラングも教えてしまいます。「多撚謝」というスラング(ち○こ)(多謝はありがとうの意)を発する度に観客は爆笑。追記(2019/12/3):本日黃秋生が登壇した舞台挨拶付き先行上映会がありました。ここではこのスラングは「クソありがとう」と字幕表記されていました。
香港で観たのとはちょっと違いが。梁昌榮はエヴリンの買い物にレシートを義務付けて、いちいち文句を言うのです。「この野菜をこんな高値で書いやがって!」みたいに。エヴリンは少しずつ買い物の仕方を工夫して安く買う件(くだり)があったのですが、日本公開版ではカットされていました。
梁昌榮もまた「Trouble」のことを「茶煲」(チャーボウ)と発音します。往年の香港映画ファンなら『秋天的童話』(誰かがあなたを愛してる)で 周潤發 が「女人真係茶煲」(ノイヤンザンハイチャーボウ)と発音していたのを思い出すはず。直訳すると「女は本当に茶壺だ」、本来なら「女は本当にトラブルだ」なのですが。
また、黃秋生に彼の主演映画『失眠』のDVDにサインを頂きました。
その他、舞台挨拶でのフォトセッション
フォトセッションの時間は観客も撮影可でした。