ちょっと重い中国の子供にまつわる事情が垣間見えるドキュメンタリーチックな(実話が下敷きですから当たり前なんですけど)映画でした。
オススメ度
基本情報
邦題:最愛の子
英題:Dearest
監督:陳可辛
主演:黄渤、赵薇
第34届香港電影金像奬最佳女主角(主演女優賞)を受賞:赵薇
第15回東京フィルメックス観客賞受賞
予告編
簡単なあらすじ
主人公田文军(黄渤)と離婚した元妻・鲁晓娟(郝蕾)の間には3歳の田鹏(朱子墨)がいる。額に怪我をしている。子供の親権は田文军にあり鲁晓娟は時々会いに来ている。ある日、鲁晓娟が会いに来た後、車で帰った。友達と外で遊んでいた田鹏は母の車を見つけて追いかけていった。そしてどこかに消えた。
田鹏が帰って来ないことに気がついた田文军は必死で捜す。警察にも電話するが失踪から24時間経過しないと警察は動けないという。ようやく警察が動いて防犯カメラにさらわれる田鹏が映っているのが確認された時点で時すでに遅しだった。
元夫婦による捜索活動が始まった。ビラを配る、Webに情報を載せる。子供が誘拐されて見つからない親の会にも入った。懸賞金10万元掛けた。嘘の情報で懸賞金を騙し取ろうとする詐欺と言うか強盗団にも襲われた。
そうこうして3年が経過し、ようやく有力な情報がもたらされた。情報元の人は懸賞金は要らないと辞退した。その情報を基に捜しに行って見つけた子供には額に傷があった。田鹏だと確信した夫婦は連れて帰ろうとする。子供(杨吉刚と名付けられてる)がさらわれたと叫び追いかける李红琴(赵薇)。「ママ助けて」と叫ぶ子供。村人やら警察官やらが入り乱れて大混乱。李红琴は逮捕される。
子供は幼いころに誘拐されてしまったため、育ての母親を実の母親だと思い込んでいます。
結局DNA検査の結果、子供は田鹏と判明、田文军の元に戻る、李红琴は懲役刑を受ける(罪状は誘拐罪ではなく公務執行妨害)。誘拐してきた(拾った)のは李红琴の夫(既に1年前に亡くなっている)である。
李红琴にはもう一人子供がいて杨吉芳と言う”妹”。この子も夫が拾ってきたもの。杨吉芳は親が見つからず施設に預けられる。
この後、李红琴が杨吉芳をせめて養子にしようと苦闘する長いくだりがあるのですが哀しい結末が待っています。
感想ほか
この映画は一人っ子政策や人身売買や誘拐ビジネスといった中国の暗部を描いて問題提起しています。
あらすじには書きませんでしたが、子供が誘拐されて見つからない親の会のメンバーで6年間見つからなかった為に誘拐された子供の死亡届を出し2人目の子供を作ったエピソードもあります。「誘拐された子供は死んでないのに死亡届を出さないといけないのか!」と荒れる場面も印象的でした。
おススメの作品です。