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香港映画『無雙』Project Gutenberg プロジェクト・グーテンベルク

投稿日:2018年10月28日 更新日:

はじめに

香港映画の今年一番の大型期待作。第31回東京国際映画祭にて鑑賞。

監督は『無間道』(インファナル・アフェア)シリーズで脚本を担当した莊文強(フェリックス・チョン)、主演に周潤發(チョウ・ユンファ)、郭富城(アーロン・クォック)、この二人はもう言わずもがな。近年でも『寒戰2』での共演が記憶に新しいところですね。

あらすじは書けないので、ティーチインのテープ起こしに比重を置きました。

追記:2020年の日本劇場公開が決定したとのことです。cinemacafeの記事はこちら

オススメ度

祝、第38届香港電影金像獎 最佳電影,最佳導演含む7部門受賞!

基本情報

邦題:プロジェクト・グーテンベルク
英題:Project Gutenberg
監督:莊文強
主演:周潤發、郭富城

東京国際映画祭作品ページ

予告編

簡単なあらすじ

(この映画はあらすじを書けません。言葉のニュアンス一つでネタバレになりかねません。是非劇場公開の際にご自身で鑑賞ください。偽札づくりの男たちの映画です。)

莊文強監督ティーチイン

司会:まずは一言ご挨拶をお願いします。

監督:まずこの映画をこうして日本で上映して皆さんに観ていただけたことを嬉しく思います。幼い頃から日本の推理小説に非常に大きな影響を受けていまして、今回観ていただければ自分がこれまで日本の推理小説にどういう影響を受けてきたかというのをご覧いただけると思います。

司会:はー、日本の推理小説に影響を受けてきたということですけれど、例えばどんな作家の影響を受けたのでしょうか?

監督:横溝正史さんとか松本清張さん。最近では・・・(ここで監督と通訳が話をするも)、山田・・・(しかわからない。通訳の方が勉強不足で申し訳ありませんと謝る)

司会:いえ、僕の方も勉強不足で、皆さんググってください。山田さんという方。でもやっぱり日本の作家さんに影響を受けた、このミステリーっていう部分なんでしょうね、恐らく影響を受けた部分というのは?

監督:そうですね。

司会:まずは僕の方で質問させていただき、この後Q&Aという形で皆さんにも質問してもらいます。こちらの作品ですが、監督自身もともともちろん監督もやりつつ脚本家としてのキャリアも積んできた上での監督と、今回監督と脚本を担当しているわけなんですけれども、脚本だけ、もっというと監督と脚本、心持ちというのは違うのでしょうか?

監督:毎回ちがいますけれども、まずたくさんの自分と会話するんですね。自分もこれまでの人生の中でたくさんの会話をしてきたと思うんです。それは恐らく皆さんも同じで生活の中でたくさんの自分と会話をしてきたと思うんです。例えばインスタグラムであったりフェイスブックであったり、そういううえでの自分と今そこにいる自分と、それぞれが違う自分だと思います。それがいろんな自分と生活しているということだと思います。

司会:なるほど。脚本においてですね、自分も観させていただいたのですけれども、非常にパワーワードといいますか、心に残る台詞もたくさんでてきたと思うんですよね。例えば「白黒つけたがるものは必ず失敗する」だとか、こういったパワーワード・心に残る台詞というのは脚本を書いていて予め用意したものなんですかね?それとも書いているうちに頭に湧き出てくるものなんですかね?

監督:自分の脚本の書き方というのは他の方と違って、予めいろんなものを組み上げて作るのではなくまず人物を設定する、それから事件を考える、でその事件の中に人物を組み込んでいく。すると自然と人物がどういう台詞を言うかというのを教えてくれる。

司会:ほー、教えてくれる。キャラクターが動き出すということですか?

監督:最近、村上春樹さんのインタビューを見たのですけれども、彼も自分と同じやり方をやっている。

司会:確かに村上春樹さんはキャラクターを設定したら向こうが自分に台詞を言ってくれる、なんて言っておりますから、監督と共通点が見いだせたと思います。

(観客からの質問を受け付ける)

質問者1:お目にかかれて光栄です。(中略)『オーシャンズ11』のように明るくすぱっと大逆転でめでたしめでたし、みんな生き延びて終わるというラストにもできたと思うのですが、結局自滅していくというか滅んでいく、『盗聴』シリーズのように滅んでいくというのが多いんですね。なぜエンディングをこう明るくめでたしめでたしとしないのか、というのをちょっと訊きたいのですが?

監督:もちろん自分が書いているのですが、キャラクターが自分で動き出して自分でどういう風に動いていくというのがあるのですが、もう一つ自分としては人生というのは8割9割は楽しくない、嬉しくないことの方が人間というのは起こるものですよね。ご自分の周りでも結構自殺した友達とかもいるので、恐らくそういう影響が出ているのではないかと思います。

司会:では監督、あの終わり方しかなかった、と断言できるということですよね?

監督:そこは他の終わり方を考えていなかった。

司会:なるほど唯一無二な終わり方だと思います。

質問者2:思い出したのがブライアン・シンガーの『ユージュアル・サスペクツ』という映画でもカイザー・ソゼという一番悪い奴は本当の正体がわからないというふうになっているのですが、この映画も周潤發の存在がああいうものだというのは絶対わからないですよね。まず周潤發がああいう「画家」という役だからだと思うのですけれど、これ考えていくうえでキャスティングは周潤發も郭富城も念頭に置いて物語を書かれたのですか?

監督:書いたときは周潤發とか郭富城とか考えていなくて、これは2008年の脚本なんですね。その時は考えていなかった。香港というのは、やってみたかったのは失敗者がスーパーヒーローというのを描いてみたかった。香港にとって周潤發さんというのはスーパーヒーローですから、そんな中で失敗した者がスーパーヒーローというものを創作してあのような形で創っていった。

司会:周潤發というのはもちろん大スターなわけで、キャスティングはすんなり行きましたか?

監督:最初書いたときは周潤發っぽい役柄を他の人に演じさせようと思っていたのですけれど、どなたかとはないのですが、その時に郭富城さんが李問(リー・マン)という役をやってくれて、脚本を読んだ時に郭富城から「何で周潤發さんにオファーしないの?」ところが周潤發さんはもう今は作品にいっぱい出る方ではないので、どうやって連絡していいかわからなかった。といったところ郭富城さんから連絡してくれて周潤發さんが脚本を読んだところ、逆に周潤發さんから「これ誰に演らせるつもりだったの?」と。

司会:俺しかいないだろ!と。

監督:で、皆さんには良い報せなのですが、半ば引退状態だった周潤發さんなんですけれども、この作品に出た後引退を撤回しまして今後映画に出るという。

(客席から拍手)

司会:これはもう監督のお陰ですよね?

監督:確かに自分のお陰といえばそうかもしれないのですが、ただ62歳の周潤發さん、この映画の中で吹き替えを使ったのは1箇所だけです。

司会:あら、そうですか!村の・・・そうですか。

監督:村のところ、集団で村を襲うところで下に転んだところ、その1箇所だけが吹き替えです。

司会:やっぱりあのところか!貴重なお話を。やっぱり僕が訊いちゃだめだ。皆さんに訊いていただかないと。

質問者3:ずっと監督の作品が好きで特に『インファナル・アフェア』以降特に監督の脚本作品が大好きなんですけれども、お伺いしたいのですが、中のキャラクターがラスト、エンディングをこういう風に動くと仰っていらしたのですが、ではキャラクターがこういうエンディングといったものを最終的にジャッジするのはあなたですか?キャラクターですか?

監督:キャラクターは何も言ってはくれないのですけれど、でも見せてくれるんです、こういうエンディングならこうなる。こういうエンディングならこうなる、というのをいくつも見せてもらって自分はその中で一番感動したものが結果を創った。これは大学の時に先生が教えてくれたやり方で、このやり方をメソッドライティングと言うんです。

司会:なるほど、本当に勉強になります。

質問者4:この映画の中の何(ホー)刑事というのはどういう立ち位置にいるのですか?

監督:まずこの刑事の役・何刑事、彼女は起こっていない疑似恋愛、自分の恋愛に対して一生を捧げる、その男性を愛し続ける選択をした女性になります。これがちょうど対比的なのは郭富城と女性の恋愛でして、あの二人には全ていろんなことが起こってしまいました。起こったけれども実際二人の間には愛がなかった。これは香港にいたときの道徳観念から採っています。一応中国の内地とか香港のファンの方では結構いろいろ議論がされているんですけれども、一人を愛しているけれどもその人とは何も起こらない、っていう自分にもそういう経験があったんです。

司会:あら、監督の実体験が投影されていると、ということでいいですか?

監督:どの作家さんも自分に正直に創っていれば必ず自分に起こったこと、考え方が投影されているはずです。

司会:じゃあ、監督もクルーザーで豪遊したいなんてことはあるのかな?

監督:やりたいですけれども、まだそんなにお金を稼いでいません。

質問者5:これは真の香港映画だと思いました。質問させていただきますが、主に撮影方法なのですが、最初は主人公が自分で創り上げた物語で主人公を撮影する時、背景は非常にぼんやりしていて、舞台が香港に戻ってきた時の香港の代表的な建物ははっきり映されていて、でも最後の女性を映しているときには背景はまたぼんやりしていて、この経緯について監督は意識的に皆に見せるという気持ちはありますか?

監督:この作品はあくまでキャラクターの心情に沿った撮影方法を採っています。今回カメラマンの人が後ろを暗くしてライトを当てるという方法をやってくださったのですが、その時に心情に合わせて加工したというのはあると思います。ただ、意図的にやったわけではないです。これは悲しい話なんですが、昔フィルムで撮っていた時には意図的にぼかしてということは考えたのですが、今はもうディジタルなのでそれはできないです。

ここでQ&Aは時間切れ

監督の最後の挨拶:皆さんの非常に良い質問をありがとうございます。この作品は撮り終えてから1年経っています。脚本自体は10年前に書いた作品なので、皆さんの質問のお陰で昔考えていたこととかよみがえってきました。先程皆さんの質問に答え、過去を昔を思い出していた時に感じたのは、知らず知らずのうちに自分は変わったんだなということでした。だから今日は本当にありがとうございました。

感想ほか

実に面白かったです。往年の發仔が帰ってきた、そんな香港映画です。『英雄本色』(男たちの挽歌)シリーズの頃からの發仔の十八番とも言うべき二丁拳銃も存分に披露されています。

期待通りです。存分に期待して観に行ってよい映画です。

東京国際映画祭で鑑賞した友人としていない友人たちが混ざった飲み会の席で鑑賞した人(全て香港映画迷)は口々に「ネタバレになるからストーリーは言えない」と言っていて、やっぱり皆同じ感想だな、と思いました。

ティーチイン後恒例のサイン会に並んだのですが、莊文強監督は「Sorry, sorry」と言いながらスタッフに囲まれて去っていってしまいました。残念です。

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