中国語表記について

映画・ドラマのタイトル、人名に関して中国大陸の場合は簡体字にて、香港・台湾の場合は繁体字にて表記するようにしています。

サモハンキンポーは誤表記

洪金寶は中国大陸出身の俳優・監督さんですが、映画の活動の舞台が主に香港でしたので繁体字表記としています。『燃えよデブゴン』シリーズが日本で上映された頃から「サモハンキンポー」とメディアでは表記されていましたので、長らくそのように認識していましたが、考えてみるとおかしいのです。

原則として英語名+姓なので、正しくは「サモ・ハン」です。最近はこのように表記されることが増えてきました(尤も出演作は減っていますが)。

もう一つおかしいのが「金」の表記です。中国語では「jin」=ジンであり、広東語なら「ngam」=ガムです。「金」を「キン」と読むのは日本語だけです。「サモハンキンポー」は誤表記のオンパレードなのです。

「キン」と読むおかしいと思うものに、香港の尖沙咀チムサーチョイにある「重慶大厦」=「チョンキンマンション」です。「慶」も中国語では「qing」=チン、広東語なら「heng」=ヘンであり、中国語読み「チョンチン」又は広東語読み「ジョンヘン」とするところではないかと思います。ただ、この建物の入口にあるプレートには「ChongKing」の表記があります。「King」ってどこから?

香港俳優に「トニー・レオン」はふたりいる

香港映画にハマった1990年代にふたりの「トニー・レオン」で混乱しました。どちらも有名な香港の俳優さんです。ひとりは「梁朝偉」もうひとりが「梁家輝」です。後者は「レオン・カーファイ」又は「レオン・カーファイ」と表記されます。梁家輝も英語名がトニーなので、若き日に「トニー・レオン」表記だったことがあります。そのため、日本公開時のパンフレットに「梁朝偉」と「梁家輝」のことが混在して書かれていました。執筆した方もニワカでよくわかっていなかったのでしょう。

梁家輝の方が「レオン・カーファイ」表記(クレジット)にしましたので、以降混乱することはなくなりました。

香港の「張」「梁」などの「eung」の音の日本語表記は難しい

「張學友」の表記は当初「ジャッキー・チュン」「ジャッキー・チョン」「リトル・ジャッキー」などさまざまでした。現在では「ジャッキー・チュン」が主流でしょうか?「張」姓では「張家輝」が「ニック・チョン」、「張國榮」は「レスリー・チャン」。広東語で発音が違うのかというと、同じです。「Cheung」の音が日本語にない音なので聞く人によって表記が異なりました。

「梁」も「Leung」なので「梁詠琪」は「ジジ・レオン」や「ジジ・リャン」「ジジ・リョン」など、過去さまざま表記がされました。

そもそも「香港」の「香」も「Heung」なので、「ホンコン」と発音すると香港人は「発音が違う」と言います。「eung」の発音が難しいですが、カナ表記で「ヒョンコン」と発音するのが最も広東語に近いかと思います。実際「ヒョンコン」と発音してみると「少し良くなった」と言われます。

「張」に話を戻しますと、中国語では「Zhang」です。「张晉」はマックス・チャンと表記されていますが、広東語に引っ張られ過ぎです。実際江戸木純さんがトークショーにて「チャンではなくてザンとかジャンとか呼んでいた」そう、「マックス・ザン」もしくは「マックス・ジャン」と表記する方が実際の発音に近いのですが、もう「マックス・チャン」で知れ渡ってしまいましたので時既に遅しです。

「電影雙周」

かつて香港には「電影雙週刊」という映画雑誌がありました。「雙」は「2又」という字で表記。

「周潤發」と「周星馳」、香港を代表する映画俳優、そのふたりの全盛期に並んで電影雙週刊の表紙を飾りました。その号は雑誌のタイトルをもじって「電影雙周」。

名前の読みはというと、かたや「チョウ・ユンファ」、かたや「チャウ・シンチー」。「周」は「Zhou」であり、どちらの名前も「ジョウ」と表記する方が原音に近いと思うのですが?実際「ジョウ」と聞こえますがどうでしょうか?

合作映画の表記

これは悩みます。中国・香港合作、もしくは中国・台湾合作。

監督、出演者により簡体字か繁体字か決めています。香港の監督と出演者ばかりでも中国映画のものもあります。それはタイトルは簡体字表記、出演者名は繁体字などとしています。

時々中国映画に出演の台湾の俳優さんを簡体字で書いてしまっていたりします。気がついた段階で修正しています。