一時期、出生の秘密を扱ったドラマが乱立しました。
「そんなに出生の秘密があるわけがない」と言っていたのですが、実に身近なところにあって驚きました。
父と祖母は血縁関係がありませんでした。
父が出生の秘密を知ったのは18歳の時。
父と祖父は大喧嘩をしました。
結果、父は家を出て、それ以来我々子供が生まれるまで疎遠になったとのことでした。
私が子供の頃に部屋に飾ってあった祖母の写真は義祖母でした。
そのことを知ったのは37歳の時です。
小学生時代、自分でテーマを決めて行う夏休みの宿題で、テーマを悩んでいたときに「おじいちゃんに家系図を書いてもらったら?」とよく事態が飲み込めないことを親が言い出したのを今でも覚えています。
祖父と最後に会ったのは亡くなる半年ほど前の36歳の時でした。
完全に認知症が進行して、孫である私のことも誰かわからなくなっていました。
(認知症なので、新しいことは覚えられなくても昔のことは覚えているのでは?)そう考えて「おばあちゃんってどんな人だったの?」とか「おばあちゃんとどうやって知り合ったの?」とか訊きました。
その答えは「そんな昔のことは忘れた」
表情や口調からは認知症で思い出せないのではなく、覚えているけれども答えられない、そんな風に直感しました。
数日が経ってから同じように質問をしても、同じようにしか答えが返ってきませんでした。
それはまだ出生の秘密を知らない時点でのことで、知っていればもっと違った質問をしていたと思いますが、今となってはどうにもなりません。
まだ祖父が元気だった1990年代に祖父、父、伯父の3人は旧満州国へのツアーに行きました。
戦時中に住んでいた場所を訪問したのです。
父と伯父に収穫はありませんでした。
帰国後、祖父は実の祖母について「満州のお寺に埋葬された」と告白しました。
父と伯父が激怒したのは言うまでもありません。
時すでに遅し。
祖父が亡くなってから遺品整理をしても、祖母にまつわる一切合切の資料や思い出は何一つ発見されなかったとのことです。
祖父はなぜ頑なまでに実祖母のことを隠し続けたのか?
他人様に言えないことだったのではないか?と考えます。例えば不倫。
後妻の義祖母は不倫相手だったとか。
ひょっとして実祖母はそのことが原因で亡くなったのでは?
そうでもなければ頑なに秘密にすることが理解できません。
文字通り「秘密を墓場まで」持っていってしまいました。
父と伯父は実祖母の生い立ちを辿ろうとしたことがあるようです。
戸籍は登録されている本籍地でないと取得できず、また旧満州国が絡んでいて、結局わからずじまいだったと聞いています。
もう一つ気になることが。
祖父と伯父は運動が得意で、特に伯父は陸上競技で道代表にもなったとか。
父は真逆で運動が大の苦手です。
小学生時分に「父は伯父とは似てないな」とか「父は祖父とは似てないな」と印象を抱いていたことも思い出しました。
まさか・・・?